フリッチョフ・カプラ
Tao Tao_of_Physics Turning_Point Turning_Point Ecology Uncommon
Fritjof Capra

 久しぶりに読み応えのある本を読んだ。
 フリッチョフ・カプラの「非常の知」である。
 「非常の知」の英語タイトルは「Uncommon Wisdom 」。だから、「非常の知」というより、「非常識の知 」とか「一般的でない知恵」とかいう意味である。しかし、読んでみるとわかるように、とてもいい訳になっている。

 カプラには今までも大きな影響を受けてきた。
 彼の著書のなかでもっとも有名な「タオ自然学」には、文字通りの衝撃を受けた。
 もう二十年以上も前の話になるが、あまりの感動で原書(英語)まで取り寄せ、すぐに読んだほどだ。ぼくの英語力で現代物理学の本を読もうというのだから、かなり苦労したが、それ以上の発見があったことも事実である。
 「タオ自然学」の英語のタイトルは「The Tao of Physics」。これは単純に「物理学の道」という意味になり、ぼくは今でもその方がふさわしいと思っている。

 カプラの「タオ自然学」は、最新の物理学が期せずして、…それとも「満を持して」というべきか…、東洋の宗教や哲学とみごとに呼応するものであることを示した。世界に一大ブームを巻き起こした書物である。まさにニューエイジ・ムーブメントは、この本によって力強く加速されたと言ってもいい。
 この本を最初に読んだときの身の震えるような興奮は、決して忘れないだろう。
 あまりにのめり込んだ結果、一般の方たちから理解されがたい言動が多くなったかもしれないほどである。

 「ターニングポイント」や「新ターニングポイント」も素晴らしい本だ。
 カプラは最先端の物理学がしだいに神秘的な世界に入り込むところから、東洋の哲学を研究し、その奥深い『知』を再発見した。そこから、ふたたび現代に戻り、『生命や意識』を探り、ホリスティック医学を研究し、ついにエコロジカルな問題へと進んでいく。
 彼の生き様こそ、「現代の地球が必要とする道筋」。そう感じざるを得ないほどの必然性が、そこにある。
 そんな彼の「非常の知」は彼の著作に親しんだものにとって、ほんとうに興味深い内容である。
 それは彼の道筋(タオ)を、そのまま読者に示してくれるものだから。
 「もう一度、カプラの著作をすべて読み返し、彼と共に地球を考えてみたい」
 そう感じさせてくれた本である。

 まだカプラを読んだことのない人なら、まず「タオ自然学」からスタートすることを薦めたい。
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