Masahito's Musical Essay
Wolfgang Amadeus Mozart

誕生250周年記念

Mozart
This is a Page for Mozart

Millions of thanks to him,
since so many happy memories of
having listened to his music
all through my life.

Thanks to him
for having given me so many happy energy
through his music.

I am sure
that I will keep listening to his music
till the very end of my life.

 このページに加筆している2006年1月27日は、モーツァルト誕生250周年の当日です。
 1月26日生まれのわたしは、モーツァルトと誕生日が隣り合っているということで、やはり嬉しく感じますし、たいへん光栄に感じます。

 モーツァルトにかんしてさまざまな研究がなされ、ありとあらゆることが書かれたり、言われたりしていますが、わたしにとって彼ほど 『光と影』 を感じさせる作曲家は他に存在しません。
 彼の後期の曲のほとんどが、辛いほどに 『陰と陽』、『生と死』、『快楽と苦痛』 などという両極を同時に感じさせてくれます。しかも陽気な笑顔に涙にくれた瞳がのぞいたり、死神の後ろで生のエネルギーが輝いたり、不思議な奥行きを感じさせてくれます。両極の存在や多次元的世界を、モーツァルトが意図して創ったのかどうかはわかりません。しかし、バックハウスが晩年好んで弾き、録音にも残したモーツアルトを聴くとき、陽気さの裏側からにじみ出る底なしの哀しみに、胸が締めつけられるのはわたしだけではありません。
 バックハウスが1960年代に残してくれたロンドイ短調を聴いたことのない方がいらっしゃいましたら、ぜひ聴いてみてください。
 バックハウス晩年のモーツァルトとケンプ晩年のシューマンは、わたしにとってかけがえのない何かを、痛切に感じさせてくれる音楽です。

 
モーツアルトを強烈に愛した人と言えば、やはりヘルマン・ヘッセでしょうか。
 彼の小説に登場するモーツアルトはいつも軽やかで、喜びに満ちています。
 また、ヘッセと同じようにこよなくモーツアルトを愛した人物に、アインシュタインもいます。
 どちらもモーツアルトの自然で、流れるような喜びに満ちた音楽に、人間性の理想を見ていたのではないでしょうか。

 わたしにとってモーツアルトとの出会いは、中学3年の時。
 それはジュピターと呼ばれる交響曲41番で、最初その雄大さとエネルギーにひかれ、取り憑かれたように聴きました。
 今でもはっきりと覚えていますが、夜になり、家のみんなが寝静まると、ヘッドホーンを付け、ジュピターを聴いたものです。

 毎夜、毎夜、レコードが(…当時はレコードの時代です)すり切れるほどに聴きました。指揮者はカール・ベームで、演奏はベルリンフィルハーモニーでした。
 音楽に、聴き手の心へのすり込み現象があるとしたなら、この一枚はまさにわたしの心に刷り込まれています。そのため、後日、評判の高いワルターを聴いた時、あまり感銘しなかったばかりか、「おかしい」とすら感じたほどでした。今になればワルターやセルのモーツアルトも大好きですし、感銘も受けることができます。が、当時のわたしにとってはほんとうにベームのモーツアルトが一番でした。

 大学生の頃はよくピアノコンチェルトを聴きました。たくさん好きな曲がありますが、若い頃は20番と23番をよく聴きました。
 30才をすぎた頃から、イングリッド・ヘブラーのピアノ・ソナタをよく聴くようになり、35才の頃、グレン・グールドのモーツアルト初期のソナタに傾倒しました。

 いつまでたってもモーツアルトの音楽は、その底にたどり着けないように感じています。もちろん、ベートーヴェンの音楽も同じなのですが、モーツアルトは特別、わたしにとって、あたかもモナリザのような謎の微笑みをたたえて、神秘の世界に存在しています。
 これからも、彼の音楽はわたしに影響を与え続けてくれるでしょう。
 彼の音楽を、人生をかけてじっくり聴き続けていきたいと願っています。

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Masahito's Favorite CDs

■交響曲41番「ジュピター」  カール・ベーム指揮ベルリンフィル(1962年録音)
                    Sandor Vegh指揮
Camerata Academica Salzburg

■ピアノ協奏曲23番      カール・ベーム指揮ヴィーンフィル
                    ポリーニ(ピアノ)

■ピアノソナタ KV310.      イングリッド・ヘブラー

■バックハウス・モーツァルト・リサイタル

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