Tsunokai Masahito's Musical Essay
宮沢賢治について
わたしが音楽について語るとき、
忘れられない人物が三人います。
ひとりは左写真の宮沢賢治です。
彼の音楽について書いた文章を読むにつけ、
まるでわたしが書いたものであるかのように感じてなりません。
たぶん、宮沢賢治の音楽体験は
わたしが経験してきた体験と
とても似ていたからではないでしょうか。
小さい頃、嫌なことがあったり、辛いことがあったりすると、
よく宮沢賢治の本に逃げ込んだ記憶があります。
よく覚えているシーンとして、雨の寒い日、ベッドにもぐり込み、
食べることも外に出ることも拒否し、
賢治の物語に没頭していた記憶があります。
心が、泣いたり、傷ついたり、血を流したりする時、
彼の書いた文章が、優しくわたしを慰めてくれました。
そんな事実は今もかわっていません。
宮沢賢治はわたしにとって
たいへん近い存在に感じられてなりません。
いつか、彼の書いたような物語を書いてみたい。
そんな思いがもう三十五年も続いています。
Tsunokai Masahito's Musical Essay