最近わたしはベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴き続けています。もう1年くらいになるでしょうか。全曲(16曲)、心からすばらしいと感じていますが、特に惹かれているのは次にあげる曲とその演奏です。
◆第 4番 ハーゲン弦楽四重奏団演奏
◆第 7番 スズケ弦楽四重奏団
アルバン・ベルク弦楽四重奏団
◆第10番 スズケ弦楽四重奏団
◆第12番 アルバン・ベルク弦楽四重奏団
◆第13番 アルバン・ベルク弦楽四重奏団
クリーヴランド弦楽四重奏団
◆第14番 ハーゲン弦楽四重奏団
◆第15番 スズケ弦楽四重奏団
◆第16番 アルバン・ベルク弦楽四重奏団
(ライヴ録音・新盤)
特筆しておきたいのはハーゲン弦楽四重奏団の演奏です。
ハーゲン弦楽四重奏団のCDで聴いたことがあるのは数枚しかありません。
初めて彼らを聴いたのはドヴォルザークのアメリカでした。その後、いくつかのモーツアルトとシューベルトを聴いた記憶があります。その時、彼らに感じていたのは元気がよく、非常にしっかりとしたテクニックを持つグループだということ。
そんなわたしにとって、4番と14番を合わせたCD(下の写真)は驚きでした。なぜなら、昔から感じるところの多かった4番(ハ短調)を、まさに「わたしならこう演奏するだろう」と信じられるように弾いてくれたからです。
4番の弦楽四重奏曲はわたしにとって、8番のピアノソナタ(悲愴)と同じような意味を持っています。そこには誰も踏み入れたことのない道に、あえて入っていこうという開拓者の孤独と、孤高の誇りがあります。もちろん燃えるようなエネルギーや、深い黙想もあります。加えて、その曲の基調に、わたしが持ちたいと願っている鋭くて優しい感性が流れています。そんな曲には人生でもめったに出会うことはできません。
彼らの弦楽四重奏曲4番はベートーヴェンの青春、その夢と希望、そして夢に拮抗する現実の厳しさというものを強く感じさせてくれます。そこには高みにあるがゆえ、苦しみや悩みも多い青年の姿があります。そんなベートーヴェンの姿に自分を映し、ふり返るとき、わたしは大きな慰めと力を得ていることに気づきます。
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