秋と紅葉について

2003年の白馬の紅葉から
…F-style メールマガジンに加筆したものです。
写真は今年(2003) の紅葉から…


YellowLeaves

 白馬に住んで初めて、家の庭に苔が生えました。夏にあまり太陽が出ず、雨ばかり降っていたからでしょう。
 そんな冷夏だったため、美しい紅葉を期待してはいませんでした。ところが、十月も半ばになると、今まで見たこともないほど素晴らしい紅葉。それが山をおおっています。特に黄と赤が鮮やか。
 わたしは別荘地に住んでいますが、木製の家々と美しい木々と山々が、見事に調和しています。
 自宅はみすぼらしいものですが、そこに植えられたモミジは見事です。上の写真がそれで、居間から手を伸ばせば届くほどのところにあります。
 下の写真はわたしがトレーニングするプールへの道にあるもの。傾いた太陽の光りに照らされ、真っ赤に輝いていました。そのあまりにも美しい姿に、思わず車を止めました。ちなみに三枚目の写真も、プールへの途中で撮ったものです。
 よく人生は四季にたとえられます。
 人生が八十年としたら、秋は四十代から五十代というところでしょうか。
 今年の紅葉を見ながら、「これほど見事な人生の秋をすごしたいもの…」と感じざるをえません。
RedLeaves
 秋の紅葉と言えば、高校時代に大好きだった詩があります。

   秋の日の
   ギオロンの
   ためいきの
   身にしみて
   ひたぶるに
   うら悲し。

   鐘のおとに
   胸ふたぎ
   色かえて
   涙ぐむ
   過ぎし日の
   おもひでや

   げにわれは
   うらぶれて
   ここかしこ
   さだめなく
   とび散らふ
   落ち葉かな


 ヴェルレーヌの詩(上田敏 訳)ですが、うらぶれた身のうちにも、鋭く高貴な感性を感じさせます。もしかしたら社会的成功より、こうした感性の鋭さこそ、命を豊かで価値あるものにしてくれるのではないでしょうか?
 紅葉の白馬連山とヴェルレーヌの詩。
 彼らはあくまでも誇り高く、気高く、わたしに迫ってきます。
「真摯に生きなければならない…」と。
2003_Autumn

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